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「共同著作物の成立要件」
行政書士 土橋哲人 2021/3/10
1 共同著作物とは
共同著作物とは,2人以上の者が共同して創作した著作物であって,その各人の寄与を分離して
個別的に利用することができないものを言います。(著作権法2条1項12号)
例えば,対等の立場の2人が共同して創作した小説などがこれにあたります。
2 共同著作が問題となる場面
例 ・保護期間(法51条2項)
・共同著作物の著作者人格権の行使(法64条)
・共有著作権の行使(法65条)
・共同著作物等の権利侵害(法107条)
・合著作物についての経過措置(附則10条)
3 共同著作物の成立要件
①共同創作の意思
共同著作物というためには,創作した者が双方向的に共同創作の意思を有していなければなり
ません。(多数説)
したがって,例えばAが小説の原案を作成途中に死亡した後,Bがこれを加除訂正して完成させ
た場合は,Aが共同創作の意思を欠くため共同著作物とはいえません。この場合は二次的著作物の
問題となります。
②創作性
共同して創作した者各人につき,それぞれが法2条1項1号の創作性を有していなければなり
ません。例えば小説の誤字脱字のチェックをしたに過ぎない者は,「思想又は感情を創作的に表
現した」とは言えませんね。
③分離利用不可能性
各人の寄与を分離して個別的に利用できる物は,結合著作物と言われます。
例えば,音楽バンドのヴォーカルが歌詞を創作し,ギタリストが作曲を担当したような場合,
歌詞と曲は分離して利用可能ですから,歌詞と曲それぞれが別個に著作物となります。
この場合,歌詞の無い曲だけ使いたいのであれば,曲の著作権を有する者に許可を取れば足り
ます。
4 さいごに
著作権は行政書士の業務の中でも取り分け専門とする行政書士が少ない分野です。
当事務所は著作権についても専門として取り扱っておりますのでお気軽にご相談ください。
参考文献
谷川和幸「共同著作物と共有著作権」(五・完)法学論叢
長塚真琴「共同著作の成立要件」判例百選第6版