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■家族信託−農地がある場合■


0 家族信託とは


 家族信託とは家族による財産管理のことです。
似たような制度に成年後見制度がありますが、様々な場面で裁判所の手続きが必要となり、加えて相続税対策が困難であるなど柔軟性や迅速性に欠けると言われています。

1 家族信託の手続き


 家族信託の手続きは、①遺言信託②契約信託③宣言信託の大きく3つの方法があります。
 ①の遺言信託とは、信託の内容を遺言書で作成する方法です。遺言ですから、遺言者の死亡後の財産管理を家族に託すものです。 (注 信託銀行の提供する「遺言信託」サービスは、単に相続手続きの御手伝いであり、ここでいう遺言信託とは大きく異なります。)
 ②契約信託とは、財産管理を頼む人(委託者)と、財産管理を引き受ける家族(受託者)が信託契約書を作成する方法です。契約でいつでも信託を開始することができます。
 ③宣言信託は、財産管理を頼む人(委託者)自身が、例えば子ども(受益者)の為に財産管理を自らする(受託者)ことを宣言することより信託の効力を発生させる方法です。

2 信託できない財産−農地


 信託では、財産管理を頼む人(委託者)から、財産管理を引き受ける人(受託者)へ権利の名義を移転させますので、名義の移転が禁止されている財産、例えば「○○銀行の預金口座」自体を信託することはできません。この場合は、現金化して信託する必要があります。 また、農地を信託することもできません。(農地法3条2項3号。農業協同組合及び農地保有合理化法人を除く。)。

3 農地の処理


 家族信託の設計の場面で農地があった場合は以下のような処理が考えられます。
①先に4条許可を取って農地以外に地目変更してから家族信託する。
②4条、5条許可を効力発生要件とする条件付家族信託とする。
③農地の部分だけ遺言書を作成する。(相続の場合は許可が要りません。)
④農地法3条、又は農業経営基盤強化促進法の手続きにより売却又は貸借する。

4 さいごに


 家族信託についてご不明な点があれば,お気軽にお問い合わせください。  

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